🇰🇭 第9回 街の風景から見えてくる、カンボジアの消費と健康意識の変化
【連載】隣国カンボジアの“今”

2026年 3月 5日からKBC-LINK編集部よりベトナム在住日本人の皆さまへ向けて、隣国カンボジアの “今” をお届けする連載がスタートしました。今回は第9回目。
現地で6年勤務されている銀行のジャパンデスク担当者の視点から、実務と生活の両面で見えるリアルな情報をお届けします。
カンボジアで暮らし始めて6年目になりました。長く住んでいると、最初は驚いていた日常の風景もいつの間にか当たり前になっていきますが、ふとした瞬間に「あ、ここ変わったな」と気づくことがあります。最近一番それを感じたのが、スーパーや商店で売られている飲み物と、街中の看板広告です。

プルタブの「当たり」が消えた?
カンボジアに来たばかりの頃、飲料売り場でとても印象的だったのが、缶のプルタブを開け
ると「当たり」が付いている仕組みでした。ビールやエナジードリンクなどの缶の裏に「もう1本」といった当たりが書かれていたり、豪華な景品としてバイクが当たるキャンペーンがあったりと、飲み物を買うこと自体にちょっとしたクジ引きのような楽しみがありました。単に無料でもらえるだけでなく、当たりのプルタブをお店に持っていき、1本につき700〜1,000リエル(約25〜35円)ほどを追加で支払って新しい缶と交換する、というカンボジアならではの面白いルールもありました。
それが2026年10月から、アルコールや砂糖入り飲料に関する景品付きの販売促進が規制されることになりました。対象には缶のプルタブだけでなく、スクラッチカードやQRコードを使った景品提供も含まれています。10月に入って実際に店頭へ行ってみると、今まで当たりが付いていた缶から景品の表示がなくなり、あのプルタブを開けるときの独特のワクワク感も見かけなくなりました。いつも見ていた商品の売り方が、ある時期を境にガラリと変わったのはとても印象的な出来事でした。
街の巨大看板もビールから「水」へ
街の風景にも同じような変化が起きています。プノンペンの街中や幹線道路を移動していると、大きな看板広告をよく見かけます。以前は色々なビールの広告が目立つ場所が多く、どこを走っていても目に入ってくる状態でした。
ところが最近、同じような場所に「水」の広告が掲示されていることに気づきました。メーカー名やブランドロゴには見覚えがあるのに、広告されている商品はビールではなく、ボトル入りの水や清涼飲料水に変わっているのです。調べてみると、政府主導で道路沿いの大型看板を中心に酒類広告の削減が進められているそうです。興味深いのは、看板自体を撤去するのではなく、ビールを製造している企業が自社の「水」などの商品に差し替えることで、看板のスペースを引き続き活用している点です。普段何気なく通り過ぎていた看板ですが、こうした背景を知ってから街を眺めてみると、企業側の工夫や街の変化が目に見えて、なんだか面白く感じられます。
▶ 2024年に発表された記事 (Phnom Penh Post・英語)
自分自身の生活と、街の変化
景品規制や広告の制限には、人々のお酒の飲み過ぎを防いだり、健康を守ったりするという目的があるそうです。こうした変化を感じる一方で、私自身の休日の過ごし方にも少しずつ変化がありました。カンボジアに来たばかりの頃と比べると、以前の連載でもご紹介したピラティスに通ったり、ピックルボールを楽しんだりと、体を動かす時間が生活の定番になってきています。
体を動かす理由は人それぞれですが、普段の仕事から少し離れてリフレッシュしたり、新しい人と知り合ったりする機会にもなっていて、私にとっても大切な時間です。
身近な変化から見えてくるもの
国の変化といえば高層ビルが建ったり道路が整備されたりする姿を思い浮かべがちですが、必ずしもそれだけではないと感じます。いつも買っていた商品のパッケージが変わる、以前は当たり前だった景品がなくなる、道路沿いの看板に別の商品が載るようになる。そういった日常の小さな変化の裏にも、国の政策や企業の戦略、人々の暮らし方の変化が隠れています。
これからもカンボジアで働く一人として、そしてこの街で暮らす一生活者として、身近な変化を楽しみながらこの国の「今」を観察していきたいと思っています。
飯田さんの耳よりカンボジア情報:
■ カンボジア日本人会の盆踊り大会、約2,000名が来場
10月18日、イオン3で、第18回カンボジア日本人会主催の盆踊り大会が開催されました。来場者は約2,000名ともいわれ、会場は大にぎわい。
飯田さんはこの日、ブースでたこ焼きとお好み焼きの販売をお手伝い。忙しくて会場を見て回る余裕がなく、写真は1枚だけ。櫓やステージを撮れなかったことが、少し心残りとのことです。
第18回を数える、カンボジアの日本人コミュニティの恒例行事。異国の地で、日本の夏の風情に触れられる一日となったようです。

KBC-LINK注目ニュース:
ABA銀行ジャパンデスクの飯田さんと読み解く「カンボジア経済の今」
■ 酒類の広告には、健康メッセージの掲載
カンボジアでは、酒類の広告に、飲酒の危険性などを伝える啓発メッセージを入れることが求められています。街中の看板を見る際は、商品の宣伝だけでなく、こうしたメッセージにも注目してみると、規制の広がりを感じられるかもしれません。
■ プノンペンの酒類看板、2年余りでほぼ半減
調べたところ、プノンペンで酒類を宣伝する看板が、2024年7月の1,026か所から、2026年10月には521か所へと、約49%減少したことが明らかになりました。情報大臣が10月28日、酒類や砂糖入り飲料の広告規制を強化する第2次「Goodwill(善意)キャンペーン」の開始に合わせて発表したものです。今回の連載で飯田さんが感じた「看板の変化」を、数字の面から裏づける内容です。
筆者プロフィール

飯田 麻美
カンボジア在住6年目。
ABA銀行ジャパンデスクにて、日本人および日系企業のカンボジア展開に関わるサポート業務を担当しています。
金融実務の現場で見える経済の動きと、生活者として感じる街の変化。その両方の視点から、まだ知られていないカンボジアの面白さを発信します。
連絡先
電話:+855 70 630 801
次回(第10回)予告
銀行員・飯田さんの「???」を来月お届けの予定です。どんなテーマになるか、どうぞお楽しみに!
KBC-LINK編集部注記
※本記事は寄稿コンテンツです。
口座開設や金融取引に関するお問い合わせは、必ず公式窓口へ直接ご確認ください。






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