【連載】隣国カンボジアの“今”
第8回 国境を越えるEC体験:タイ経由から「Taobao直接配送」へ。急速に便利になるカンボジアの買い物事情

2026年 3月 5日からKBC-LINK編集部よりベトナム在住日本人の皆さまへ向けて、隣国カンボジアの “今” をお届けする連載がスタートしました。今回は第8回目。
現地で6年勤務されている銀行のジャパンデスク担当者の視点から、実務と生活の両面で見えるリアルな情報をお届けします。
カンボジアで暮らしていて、ここ最近特に便利になったと感動しているのが、ネットショッピング(EC)と国際物流の変化です。
かつての定番:タイ経由の「陸路転送サービス」
私がプノンペンに来たばかりの頃や数年前までは、ちょっとした日用品や生活雑貨をオンラインで買おうとすると、タイでメジャーなECアプリ「Lazada(ラザダ)」を利用するのが主流でした。当時は直接カンボジアの家に届けてくれる仕組みが整っていなかったため、少しユニークな方法を使っていました。
仕組みはこんな感じです。Facebookで「〇〇エクスプレス」といった民間の輸送業者を探し、メッセンジャーで連絡をし、タイにある彼らの倉庫の住所を教えてもらいます。そしてLazadaで注文する際、配送先としてそのタイ倉庫の住所を入力します。
タイ国内なので注文から1〜2日でその倉庫に荷物が届き、そこから業者がバッタンバンなどの国境を経由して、陸路でプノンペンまで持ってきてくれるという流れでした。
Facebookで注文確定の連絡とあわせて、プノンペンの住所や電話番号、注文番号などを伝えておくと、1〜2週間ほどで家まで届けてくれます。送料を聞くと「1つにつき1ドル」などと教えてくれて、びっくりするほど安かったのを覚えています。日本のアマゾンや楽天のように即時性があるわけではありませんが、「急がないけれど欲しいもの」があれば、時間さえかければ何でも手に入る素晴らしい仕組みでした。
しかし、タイとの国境をめぐる情勢の変化などもあって、これまで頼りにしていたこのタイ経由のルートが次第に使えなくなってしまいました。
気づいたら始まっていた「Taobao」の直接配送
そんな中でいつの間にか始まっていて、さらに便利になっているのが、中国のメガショッピングサイト「Taobao(タオバオ)」です。
これが本当に便利で、Taobaoのアプリ上でカンボジアの住所を直接入力すると、Taobaoと提携している物流会社を通して、そのままカンボジアの自宅まで届けてくれるようになりました。
確かに届くまで1〜2週間ほどはかかりますが、送料が格安です。数ドル以上買えば送料無料になることもあり、「一体どうやって成り立っているんだろう?」と不思議に思うほどです。

ちなみに前回は、8月8日に注文・決済をして、8月16日にはもう手元に届きました。わずか8日です。中国国内の移動から通関、カンボジア国内の配達状況まで、アプリ上でリアルタイム更新されるのも安心できるポイントです。急ぎの買い物ではないので速さは求めていませんが、こうやってどんどん手軽になっていくことがただただ嬉しいですし、住みやすくなっているな、と感じます。
ニュースでも、カンボジア政府が物流ネットワークの近代化や輸送コストの削減に向けたマスタープランの進捗状況を精力的に確認・推進しているという記事を見かける機会が増えましたが、こうした国全体の取り組みが、私たちの身近な買い物の利便性にも少しずつ反映されているのかもしれません。
カンボジアならではの「ラストワンマイル」
カンボジアで面白いなと思うのは、最後の配達(ラストワンマイル)の仕組みです。日本の郵便のように不在票が入っているということはなく、プノンペンに荷物が届くと、バイクに乗った配達員さんから直接メッセージや電話が入ります。
「今荷物届いたよ!」「家の位置のGoogle Mapのピンを送って」とチャットでやり取りをすると、バイクで家まで持ってきてくれます。一度場所を把握してくれると、次からは「いつもの場所ね!」という感じでスムーズに届けてくれるので、本当に助かっています。
大きな道路や橋が整備されるといったニュースももちろんですが、こうして個人の生活に直結するサービスの選択肢が増え、日々暮らしやすくなっていくプロセスを体感できるのも、今のカンボジアで過ごす面白さだと実感しています。
飯田さんの耳よりカンボジア情報:
11月はカンボジアの大型連休「水祭り(Water Festival)」の時期。例年、この時期には近隣国への旅行を楽しむ人も多いのですが、今年はタイとの国境をめぐる情勢が、旅行先の選択にも影響を与えているようです。
タイへの渡航者が大幅に減少する一方、数日で行ける海外旅行先としてベトナムの人気が高まり、航空券の価格も上昇。飯田さんも今回ハノイ行きを考えたものの、往復600ドルで見送ったそうです。
600ドルといえば、日本への往復旅行も検討できる金額。近隣国の情勢が、カンボジアの人々の旅行先や航空運賃にも思わぬ影響を及ぼしています。
KBC-LINK注目ニュース:
ABA銀行ジャパンデスクの飯田さんと読み解く「カンボジア経済の今」
■ 急速に広がるオンラインショッピング
カンボジアの若者の間で、オンラインショッピングが急速に広がっています。
2026年8月に発表された調査では、回答した若者の60.6%がECを利用しており、中でも中国の「Taobao」が最も利用されていました。価格の安さが人気の大きな理由ですが、FacebookやTikTok、Telegramなどを通じて商品を購入する「ソーシャルコマース」も広がっています。一方で、約4割はまだECを利用しておらず、地域による利用環境やオンライン販売への信頼などが課題として残っています。
「ネットで買う」ことが当たり前になりつつある一方、その買い方も日本とは少し違う。そんなカンボジアの若者の消費行動から、現地のデジタル化の今が見えてきます。
筆者プロフィール

飯田 麻美
カンボジア在住6年目。
ABA銀行ジャパンデスクにて、日本人および日系企業のカンボジア展開に関わるサポート業務を担当しています。
金融実務の現場で見える経済の動きと、生活者として感じる街の変化。その両方の視点から、まだ知られていないカンボジアの面白さを発信します。
連絡先
電話:+855 70 630 801
次回(第8回)予告
銀行員・飯田さんの「???」を来月お届けの予定です。どんなテーマになるか、どうぞお楽しみに!
KBC-LINK編集部注記
※本記事は寄稿コンテンツです。
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