ベトナム農業、近代化と持続可能性へ本格シフト
- KBC-LINK Editor
- 9月1日
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ベトナム農業は今、近代化と持続可能性への取り組みを加速させています。政府、企業、研究者が連携し、デジタル技術やスマート灌漑、循環型農業モデルの導入を進めることで、持続可能な食料供給と環境負荷低減を両立させる新しい産業モデルが注目を集めています。
ベトナムはスマート農業やデジタル技術を導入し、生産性や品質を向上させることで、米など主要農産物の世界的輸出国に成長しました。高品質米「ST25」* をはじめとする品種改良や低排出のグリーン農業も進展しています。一方で、気候変動や国際競争といった課題も残り、政府はデジタル農業エコシステムの構築や科学技術革新を柱に、持続可能な成長を目指しています。
2025年8月14日にタイニン省で開催された「AgriS Agro Day 2025」には、政府、学界、企業、金融機関、農家ら500名以上が集まり、精密農業や IoT ** を活用したスマート農業の導入事例が紹介されました。従来の大量投入型農業から、資源効率を高める循環型農業へ移行する動きが加速しています。農業廃棄物を肥料や飼料に再利用する取り組みも広がり、環境負荷を低減しながら生産性向上を実現する試みが進んでいます。会議では、スマート灌漑や精密農業、デジタル作物管理といった先端技術の活用を通じて、生産性向上と環境負荷低減を両立し、輸出競争力を高める方向性が示されました。主な成果として、①農業技術への研究開発投資の拡大、②官民パートナーシップによるハイテク農業資金支援、③農家向けのデジタル技術・持続可能な農業研修、④輸出拡大に向けた協定の締結が確認されました。イベントは、ベトナムが東南アジアにおける持続可能な農業のリーダーとして台頭する可能性を示すものとなりました。

* ST25 米 とは、ベトナムで開発された高品質な米の品種で、2019年の国際コメコンクールで最優秀賞を受賞し「世界一美味しいお米」とも呼ばれるブランド米です。やや縦長で、モチモチとして柔らかく、香り高い点が特徴。
** 農業IoTとは、畑やビニールハウス、牛舎などに設置されたセンサーやカメラなどのデバイスをインターネットに接続し、農作物の生育状況や土壌、気象情報などのデータをリアルタイムで収集・分析する技術です。これにより、水やりや温度調整の自動化、病害虫の早期発見、作業の省力化、高品質な農作物の安定生産、新規就農者の育成支援など、様々な課題解決や生産性向上が期待されます。
【KBC-LINKの視点】
ベトナム農業の近代化は、日本の技術・ノウハウとの親和性が高い分野です。
- 日本のスマート灌漑や 農業 IoT 技術の活用
- 高効率肥料・農薬、バイオスティミュラント*** の導入
- 冷蔵物流やトレーサビリティ管理システムの展開
こうした分野での協業により、日越双方にメリットが生まれます。特にESG対応や脱炭素型農業は、日本企業が持つ強みを発揮できる領域です。KBC-LINKは、日越の橋渡し役として、農業と関連産業の持続可能な成長を支援していきます。
*** 肥料は植物に直接栄養を供給し、成長を促します。 一方、バイオスティミュラントは非生物的ストレスを緩和することで植物の生理機能を活性化させ、成長力や免疫力を高め、これにより作物の収量や品質、保存性の向上を実現します。
【出典】
VietnamPlus 「Vietnamese agriculture moves toward modernisation, sustainability」 (2025年8月30日) https://en.vietnamplus.vn/vietnamese-agriculture-moves-toward-modernisation-sustainability-post325560.vnp
BioAg World Digest 「AgriS Agro Day 2025 showcases Vietnam’s push for high-tech circular agriculture」 (2025年8月14日)
【編集】
KBC-LINK編集部




