ベトナム製造業、4か月連続で生産増も輸出受注は減少 — S&P Global調査
- KBC-LINK Editor
- 9月4日
- 読了時間: 3分
S&P Globalの最新調査によると、ベトナム製造業の生産は8月も4か月連続で増加しました。しかし、輸出受注の減少や原材料不足、関税の影響により、回復基調には不透明感が残っています。

2025年8月、ベトナムの製造業は4か月連続で生産拡大を記録しました。ただし、その伸びは7月に比べて緩やかとなり、需要の低迷が背景にあるとされています。
S&P Globalの発表によると、8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)* は 50.4 で、7月の 52.4 から低下しました。50を上回ったことで業況改善を示したものの、その強さはわずかにとどまりました。
主な調査結果は以下の通りです:
新規受注:7月の一時的な増加後、8月は再び減少。特に輸出受注は10か月連続の減少。背景には米国の関税問題がある。
雇用:新規受注の減少を受け、雇用は11か月連続で縮小。生産能力に余剰が生じている。
在庫・生産活動:完成品在庫は減少。一方で、将来的な需要改善を見越して原材料の購買活動は2か月連続で増加。
供給網:原材料不足により納入期間が延長。仕入価格は2025年で最も高い伸びを記録。
販売価格:コスト増加を反映し、販売価格は3か月連続で上昇。
企業マインド:6か月ぶりの高水準まで回復したが、依然として平均を下回る。世界経済への懸念が信頼感を抑制。
S&P Globalの経済ディレクター、Andrew Harker 氏は次のようにコメントしています。
"While it was positive to see output expand again during August, a renewed fall in new orders calls into question how long firms will be able to keep increasing production. The drop in new sales was led by exports, which decreased solidly again as issues around tariffs continued to impact the sector." 「8月も生産が拡大したのは前向きな結果ですが、新規受注の減少が続けば生産増加を維持できるか疑問です。今後は関税問題の安定化と需要回復が期待されます。」
*PMI=Purchasing Manager’s Indexの略。PMI は GDP などの他のマクロ指標よりも発表が早く、景気の変化をいち早く知ることができる速報性の高い指標です。製造業やサービス業の購買担当者を対象にした景況感指標。購買担当者は日々の仕入れや生産計画を立てる中で、製品の需要や取引先の動向を最もよく把握しています。PMIでは、彼らに対して以下の項目をアンケートで尋ね、その結果を指数化します:
- 生産量の動き
- 新規受注の増減
- 受注残の状況
- 雇用の変化
- 購入する原材料の数量や価格
KBC-LINKの視点
日本企業にとって:原材料不足やコスト上昇はリスクである一方、効率的な資材供給や技術提供の余地があります。
ベトナム市場全体では:輸出依存の高い製造業において、関税政策や国際物流の動向が今後の成長を左右します。
人材・生産性面でも改善余地があり、日系企業との協業による競争力強化が見込まれます。
【出典】
S&P Global Vietnam Manufacturing PMI調査(2025年8月)- The Investor, 2025年9月4日 https://theinvestor.vn/vietnams-production-rises-for-four-straight-months-new-export-orders-continue-to-fall-sp-global-d16877.html
Vietnam News, 2025年9月4日 https://vietnamnews.vn/economy/1724533/viet-nam-s-manufacturing-sails-with-cautious-optimism-amid-challenges.html
大和証券:金融・証券用語解説 https://www.daiwa.jp/glossary/YST0537.html
【編集】
KBC-LINK編集部




